AGA(男性型脱毛症)は、額の生え際や頭頂部の髪が少しずつ薄くなっていく脱毛症で、進行性があるのが特徴です。
遺伝やホルモンの影響が関係していて、年齢とともに気になり始める人も少なくありません。
今回は、AGAの仕組みや原因、進行のサイン、治療の選び方まで、はじめての人にもわかりやすくお伝えします。
AGAとは?男性型脱毛症の基本知識
AGAという言葉を聞いたことはあっても、詳しくは知らないという人も多いかもしれません。
ここでは、AGAの正式な意味や一般的な薄毛との違い、進行の特徴について見ていきましょう。
AGAの正式名称と意味
AGAは「Androgenetic Alopecia(アンドロジェネティック・アロペシア)」の略で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれます。
思春期以降の男性に多くみられ、額の生え際や頭頂部の髪が徐々に薄くなるのが特徴です。
進行性のため、何も対策をしないままでいると薄毛の範囲が広がっていく傾向があります。
一般的な薄毛やハゲとの関係性
日常的に使われる「薄毛」や「ハゲ」という言葉には、さまざまな原因が含まれますが、成人男性に最も多いタイプがAGAです。
たとえば、ストレスや栄養不足、一時的な体調の変化などによる抜け毛もありますが、AGAはこれらとは異なり、ホルモンと遺伝の影響が大きいとされています。
そのため、通常の抜け毛と見分けがつきにくいこともあります。
AGAは進行性の脱毛症
AGAの特徴のひとつが「進行性であること」です。
最初は抜け毛が少し増えた程度でも、徐々に生え際や頭頂部の毛量が減っていき、気づいたときには薄毛が目立つようになっているケースも少なくありません。
ただし、早めに対策を始めれば、進行を遅らせたり、改善を目指したりすることも可能です。
自分の髪の変化に気づいたタイミングが、対策を始めるひとつの目安になるでしょう。
異常脱毛との違いとは?
異常脱毛とは、1日に通常よりも多い量の髪が抜け続ける状態を指し、一時的な体調不良やストレス、季節の変わり目などでも見られることがあります。
AGAとの違いは「進行性」であるかどうかです。
異常脱毛は原因が取り除かれれば自然に回復するケースもありますが、AGAは時間とともに徐々に進行していくため、自然に元に戻ることは基本的にありません。
「抜け毛が増えた=すぐにAGA」とは限らないため、症状の持続性や部位の傾向にも注目して見極めていく必要があります。
AGAの主な原因と発症のメカニズム
AGAがなぜ起こるのかを知ることは、正しい対策を選ぶうえでも重要なポイントです。
ここでは、AGAの発症に関わる3つの代表的な要因について解説します。
原因① 遺伝的要因
AGAには遺伝が深く関係していると考えられています。
とくに、母方の家系に薄毛の人が多い場合、AGAを発症しやすいという研究報告もあります。
遺伝的に薄毛のリスクを持っている場合は、早いうちから頭髪の状態に注意を払っておくとよいでしょう。
原因② 男性ホルモン(DHT)の影響
AGAの直接的な原因とされているのが「DHT(ジヒドロテストステロン)」という男性ホルモンです。
テストステロンというホルモンが体内で酵素によって変化し、このDHTが毛根に作用すると、髪の成長が妨げられてしまいます。
DHTの影響を受けやすい体質かどうかも、AGAの発症に大きく関わっています。
原因③ 生活習慣の乱れやストレス
睡眠不足や食生活の乱れ、慢性的なストレスも、髪の健康を損なう要因のひとつです。
たとえば、栄養バランスが崩れると毛根に必要な成分が届きにくくなったり、自律神経の乱れが血流を悪化させたりすることで、抜け毛につながることもあります。
生活習慣はすぐに変えられる部分でもあるため、予防や対策のひとつとして意識してみるとよいかもしれません。
参考 CosmeRNA 、ISHRS(国際毛髪再生外科学会)
AGAの症状・特徴とセルフチェック
AGAはゆっくり進行するため、初期段階では気づきにくいこともあります。
ここでは、よく見られる症状や進行のパターン、自分で確認できるチェックポイントを紹介します。
AGAの初期症状と兆候
AGAの初期には、生え際や頭頂部の髪が細くなったり、抜け毛の量が少しずつ増えたりする傾向があります。
特に、シャンプー後や枕に残る髪の毛の本数が増えてきたと感じたら、注意が必要です。
また、髪のハリやコシがなくなったと感じるのも、初期症状のひとつといえるでしょう。
M字・O字・U字の進行パターン
AGAの進行パターンには主に3つの型があります。
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M字型
額の両側が後退していくタイプ。生え際のラインがM字に見えるのが特徴です。 -
O字型
頭頂部から髪が薄くなっていくタイプ。つむじ周辺の地肌が目立ちはじめます。 -
U字型
生え際から頭頂部にかけて広範囲に薄くなるタイプ。M字とO字がつながるように進行します。
進行の仕方には個人差があり、複数のパターンが混在するケースもあります。
自分でできるAGAセルフチェックリスト
「これってAGAかも?」と感じたときに、自分で簡単にチェックできるポイントがあります。
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生え際やつむじの地肌が目立つようになった
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髪が細く、やわらかくなってきた
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抜け毛が増えたと感じる(とくに短く細い毛が多い)
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頭皮が脂っぽい、またはかゆみがある
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家族(とくに母方)に薄毛の人がいる
2つ以上当てはまる場合は、早めに専門機関に相談するのがおすすめです。
AGAは病気?放置するとどうなるか
AGAは命に関わる病気ではありませんが、放置してしまうと進行が止まらず、見た目の変化や心の負担につながることもあります。
ここでは、治療の必要性や放置による影響について整理しておきましょう。
AGAは治療が推奨される脱毛症
AGAは医療機関で正式に診断される「進行性脱毛症」として位置づけられています。
症状が進むにつれて、毛根が細くなり、最終的には髪が生えにくい状態になるため、早期の治療介入が重要とされています。
近年では専門のAGAクリニックも増えており、内服薬や外用薬による治療が一般的です。
AGAは自然に治ることはないため、医療によるサポートが前提となる脱毛症といえるでしょう。
放置した場合の髪の毛の変化
AGAを放置すると、以下のような進行が見られます。
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初期
髪が細くなる、抜け毛が増える -
中期
地肌が透けて見える、分け目が広がる -
後期
毛がほとんど生えず、頭皮が目立つ状態に
このように、時間が経つほど毛根の働きが弱まり、治療を始めても効果が出にくくなることがあります。
そのため、薄毛に気づいた時点で早めに対応することが、進行を食い止めるカギとなるでしょう。
AGAの主な治療方法と発毛について
AGAは進行性ですが、早めに治療を始めることで進行を抑えたり、発毛を促したりすることが可能です。
ここでは代表的な治療方法と、それぞれの特徴について紹介します。
内服薬による治療
AGA治療でもっとも一般的なのが、内服薬によるアプローチです。
代表的な薬にはフィナステリドやデュタステリドがあり、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えることで、脱毛の進行を防ぎます。
毎日1回の服用を継続することで効果が期待されますが、効果の実感には数ヶ月かかることが多く、根気よく続けることが大切です。
外用薬による治療
外用薬にはミノキシジルが含まれたローションやフォームタイプがあり、頭皮に直接塗布することで発毛を促します。
血流を改善し、毛根に栄養が届きやすくなることで、髪の成長をサポートします。
外用薬は市販されているものもありますが、濃度や使用方法によって効果に差が出るため、できれば医師の指導のもとで使うとよいでしょう。
「発毛」と「育毛」の違い
AGAの治療では、「発毛」と「育毛」の違いを知っておくことも大切です。
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発毛
新しく髪を生やすこと。ミノキシジルなどが代表的な発毛成分。 -
育毛
既存の髪を太く強く育てること。生活習慣の見直しや育毛剤が対象。
AGA治療では、これらを組み合わせて進めることで、より高い効果が期待できます。
治療は専門のクリニックへ相談
AGA治療は、症状の程度や体質によって合う方法が異なります。
市販薬で対処できるケースもありますが、副作用や効果の個人差を考えると、専門の医師に相談するのが安心です。
最近ではオンライン診療を受け付けているクリニックもあり、自宅から気軽に相談できる環境も整ってきています。
自分に合った治療法を見つける第一歩として、まずは専門機関に相談してみましょう。
AGAに関するよくある質問(Q&A)
AGAについては、初めて調べる人が抱きやすい疑問や不安も多いものです。
ここでは、よくある質問に対してわかりやすく回答します。
AGAは何歳から発症する?
AGAは早い人では10代後半から始まることがありますが、一般的には20代後半から30代にかけて気づくケースが多くなります。
年齢を重ねるごとに進行する可能性が高まるため、髪の変化を感じた時点で早めに対策することが大切です。
女性もAGA(FAGA)になる?
女性にもAGAに似た脱毛症状が起こることがあり、「FAGA(女性型脱毛症)」と呼ばれます。
男性とは症状の出方が異なり、びまん性(全体的)に髪が薄くなるのが特徴。
女性の薄毛はホルモンバランスや更年期、ストレスなど複数の要因が関係しているため、専門のクリニックでの診断が重要です。
治療をやめるとどうなる?
AGAの治療を中断すると、抑えていたDHTの作用が再び強まり、脱毛が進行する可能性があります。
特に内服薬や外用薬を使っていた場合、使用をやめたことで元の状態に戻ってしまうことがあるため、継続的な治療が推奨されます。
無理なく続けられる治療法を医師と相談しながら選ぶことが大切です。
AGA治療に保険は適用される?
日本では、AGA治療は見た目に関する自由診療とされているため、基本的に保険は適用されません。
そのため、診察料や薬代は自己負担となりますが、クリニックによって料金設定は異なります。
費用や通院頻度などを事前に確認し、自分に合った治療プランを選ぶとよいでしょう。
まとめ
AGA(男性型脱毛症)は、誰にとっても他人事ではなく、年齢とともに少しずつ気になり始める悩みのひとつ。
進行性である以上、放っておくと症状は悪化しやすくなりますが、今では多くの治療法が確立されており、早めの対応によって進行を抑えることも十分可能です。
髪の変化に気づいたら、まずは自分の状態を正しく知ることが、治療への第一歩。
「薄くなってきたかも」と思ったときが、行動を起こすタイミングといえるでしょう。
自分に合った方法を見つけて、早め早めに、無理のない範囲で向き合っていくことが大切です!