おりものは、膣や子宮から自然に分泌される粘液で、膣の中を清潔に保ち、雑菌の侵入を防ぐはたらきをしています。
生理周期や体調によって変化しやすく、体からのサインとしても大切なものです。
だからこそ、いつもと違うと「大丈夫かな?」と気になってしまうこともありますよね。
今回の記事では、おりものの役割や正常な状態、注意したい変化や病院に行く目安までをやさしく解説していきます。
おりものとは?役割と正常な状態
おりものについて正しく理解することで、体の変化にも気づきやすくなります。
ここでは、そもそもおりものとは何か、その役割や正常な状態について見ていきましょう。
おりものの役割と分泌の仕組み
おりものは、子宮頸部や腟の壁にある分泌腺から自然に分泌される粘液です。
体が自ら作り出すこの粘液には、以下のような重要な役割があります。
-
膣内をうるおし、乾燥を防ぐ
-
自浄作用によって膣内を清潔に保つ
-
細菌や異物の侵入を防ぐ
-
精子の通り道をサポートする(排卵期)
分泌される量や粘度はホルモンの影響を強く受けるため、思春期以降から閉経までの間にさまざまな変化が見られます。
とくに排卵前後や生理前後は、量や質感が大きく変化することも珍しくありません。
正常なおりものの基準(量・色・匂い・状態)
おりものの状態には個人差がありますが、以下のような特徴であれば基本的には正常と考えられます。
-
色:透明〜白っぽい
-
匂い:無臭〜わずかに甘酸っぱいにおい
-
状態:サラサラ〜少し粘り気のあるゼリー状
-
量:下着に少しつく程度(排卵期は増える)
生理周期や体調、ストレス、性行為の有無などによっても状態は揺れ動くため、「自分のいつもの状態」を知っておくことが大切です。
一方で、「においがきつい」「色が黄色や緑がかっている」「量が急に増えた」などの変化がある場合は、体からのサインかもしれません。
生理周期とおりものの変化【排卵日・生理前後】
おりものの状態は、ホルモンバランスの変化によって周期的に変わっていきます。
ここでは、生理周期に応じてどのようにおりものが変化するのかを段階ごとに見ていきましょう。
生理後から排卵前にかけて(卵胞期)
生理が終わった直後は、ホルモンの影響でおりものが少ない時期です。
日数が経つにつれて徐々に分泌が増え、透明でサラッとした状態になります。
水っぽく粘り気がなく、下着につく程度の量が見られるでしょう。
この時期は膣内の清潔を保ちつつ、次の排卵に向けて準備が進んでいる状態といえます。
排卵日ごろ(排卵期)
排卵が近づくと、おりものの量が一気に増えます。
見た目は透明で、指に取るとよく伸びるのが特徴です。
生卵の白身のような状態で、精子が子宮に届きやすいようサポートするはたらきがあります。
この時期におりものの変化に気づいた人は、排卵が近いサインと捉えるとよいでしょう。
排卵後から生理前にかけて(黄体期)
排卵が終わると、おりものは白っぽくなり、粘り気が強くなります。
量はやや減少し、膣内が少し乾燥ぎみになる人もいます。
生理が近づくにつれて、黄体ホルモンの影響でさらに変化があり、乳白色のクリーム状になることも。
この時期に茶色っぽいおりものが出る場合は、排卵出血や着床出血の可能性もあります。
気になる場合は、他の体調変化とあわせてチェックしてみてください。
【悩み別】おりものの状態からわかること
おりものの変化には個人差がありますが、なかには「これって大丈夫?」と不安になるような状態もあります。
ここでは、よくある悩みのケースごとに、考えられる原因や対処のヒントをまとめました。
量が多い・ズボンまで染みる
おりものの量が多いと、下着だけでなくズボンにまで染みることがあります。
排卵期や妊娠初期、更年期に差しかかる時期などは、ホルモンの影響で分泌量が増えることもあるため、心配はしなくてよいでしょう。
ただし、急に量が増えた・かゆみやにおいを伴う場合は、細菌性膣炎や性感染症(クラミジアなど)の可能性も考えられます。
おりものシートを適切に利用してデリケートゾーンを清潔に保ちつつ、気になる場合は婦人科を受診しましょう。
水っぽい・透明で伸びる
透明でトロッとしたおりものは、排卵期によく見られる状態です。
水っぽく伸びがよいのは、精子が子宮に届きやすいように体が整えているサインともいえます。
ただし、量が極端に多くてかゆみやにおいを感じる場合は、感染症の可能性もあるため注意が必要です。
排卵期かどうかを生理周期と照らし合わせて確認してみると安心です。
ゼリー状・白いかたまりが出る
ゼリーのような白いかたまりが出る場合、カンジダ腟炎の疑いが考えられます。
とくに、ヨーグルト状やカッテージチーズ状のかたまりが出て、強いかゆみやヒリヒリとしたしみるような痛みがある場合は注意が必要です。
一時的に免疫力が落ちていたり、抗生物質の服用、睡眠不足などが引き金になることもあります。
再発しやすいため、違和感を感じたら早めの受診を検討してみましょう。
【色・匂い】注意すべき異常なおりもの一覧
おりものの色やにおいに変化があると、不安に感じる人も多いでしょう。
ここでは、とくに注意したいおりものの色やにおいの変化と、その背景にある可能性について解説します。
色でわかるサイン(白・黄・きみどり・ピンク・茶褐色)
おりものの色は体調のバロメーターになることがあります。
白色・カッテージチーズ状でかゆみがある
白くてポロポロとしたヨーグルト状のおりものが増え、強いかゆみを伴う場合は、カンジダ腟炎が疑われます。
市販薬で治ることもありますが、再発しやすいため、初めての症状であれば婦人科での診断がおすすめです。
黄色・黄緑(きみどり)色で泡立つ・におう
黄色や黄緑色のおりものが出て、さらに泡立ちや強いにおいを感じるときは、トリコモナス腟炎や細菌性腟炎の可能性があります。
とくににおいが魚のように感じる場合は要注意です。
パートナーと感染を繰り返すケースもあるため、検査や治療を検討しましょう。
ピンク色・茶褐色(血が混じる)
ピンク色や茶色っぽいおりものは、少量の血が混じっている状態です。
排卵期の出血や生理前後であれば問題ないこともありますが、性交後や不正出血とあわせて起きている場合は、子宮や腟の異常が背景にある可能性もあります。
症状が繰り返す場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
匂いでわかるサイン(くさい・生臭い・酸っぱい)
おりものはもともとわずかに酸っぱいにおいがありますが、明らかににおいが強くなった場合は注意が必要です。
-
生臭いにおい:細菌性腟炎やトリコモナス腟炎のサイン
-
魚のようなにおい:細菌のバランスが崩れている可能性
-
酸っぱいにおいが強い:常在菌の増殖や通気性の悪さが影響していることも
体調や下着の素材によって一時的に変化することもありますが、かゆみや色の変化もある場合は、感染症などの可能性も考慮しておきましょう。
年代・ライフステージによるおりものの変化
おりものの状態は、年齢やホルモンの変化によっても大きく変わっていきます。
ここでは、ライフステージごとに見られる特徴や注意点についてご紹介します。
初経前・思春期のおりもの
初経の前後になると、ホルモンの分泌が活発になり、それにともなっておりものが現れるようになります。
最初は量が少なく、透明でサラッとした状態が多いですが、年齢とともに安定していきます。
不安に感じる場合でも、かゆみや強いにおいがなければ、自然な変化と受け止めて大丈夫です。
デリケートゾーンの清潔を保つ習慣をつけるよいタイミングともいえるでしょう。
妊娠中のおりもの
妊娠中はホルモンの影響でおりものの量が増える傾向があります。
乳白色〜クリーム色で、少し粘り気のある状態になることが多いでしょう。
一方で、血が混じっている・黄緑色・悪臭がする場合は感染症や切迫流産の可能性もあるため注意が必要です。
妊婦健診の際に気になる変化があれば、医師に相談してみてください。
更年期・閉経後のおりもの
閉経に近づくと、女性ホルモンの分泌が減少し、おりものの量は徐々に少なくなっていきます。
膣内が乾燥しやすくなることで、かゆみや違和感を感じやすくなる人もいます。
また、感染症への抵抗力が弱まる時期でもあるため、少しの変化でも早めに対処することが大切です。
デリケートゾーンの保湿ケアを取り入れるのも一つの方法です。
以下の関連記事もぜひご覧ください。
病院に行くべき?受診の目安と診療科
おりものの変化が気になっても、すぐに病院へ行くべきか迷う人も多いのではないでしょうか。
ここでは、受診の目安や相談できる診療科について解説します。
受診を推奨する症状チェックリスト
次のような症状がある場合は、自己判断せずに婦人科で相談することをおすすめします。
-
においが強くなった(生臭い・魚のようなにおいなど)
-
かゆみやヒリヒリ感がある
-
おりものの色が黄色・緑・ピンク・茶色になった
-
ポロポロとしたかたまりが出る
-
下腹部の痛みを伴う
-
生理以外の出血がある
体調やストレスによって一時的に変化することもありますが、数日続いたり、繰り返す場合は医師の判断を仰いだほうが安心です。
何科を受診すべきか(婦人科・産婦人科)
おりものの異常を感じた場合は、婦人科または産婦人科での相談が適しています。
妊娠中や妊娠の可能性がある場合は、産婦人科がよりスムーズです。
一般的な婦人科クリニックでも、おりものに関する相談・検査・治療は対応していますので、気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。
病院で聞かれること・検査内容
診察では、以下のような点について医師から質問されることが多いです。
-
いつから症状があるか
-
色・におい・量の変化について
-
生理周期や最終月経日
-
性交渉の有無
必要に応じて、おりものの採取検査(スメア検査)や内診が行われることもあります。
不安なことがあれば、事前にメモしておくと安心して受診できますよ。
まとめ
おりものは、女性の体から日々届けられる大切なサインです。
色やにおいが変わったり、いつもより量が多いと不安になることもありますが、体調や周期の変化によって起こる自然なことも多くあります。
「これって普通なのかな?」と感じたら、一人で抱え込まず、からだの声に耳を傾けてみましょう。
いつもの自分の状態を知っておくことで、変化にも気づきやすくなります。
気になるときは、早めに婦人科で相談してみるのもひとつの方法です。
女性の体は変化が多いですが、無理せず、やさしく自分の体と向き合ってくださいね。